1.「2025年 4,000億円 1,000店舗」

新業態MEDISITEへの挑戦
2000年7月2日、副社長の加藤和裕が社長に就任しました。
2001年1月12日の店長会議にて、加藤和裕は「三洋堂書店は、21世紀第一四半期の展望として、「複合書店」を進化させ、我が国最大の複合メディア企業を作る」と発表しました。具体的には、2010年までに株式を公開し、2025年までに北海道から沖縄まで47都道府県に1,000店舗を展開する、というものです。
この方針のもと、複合メディア企業としての三洋堂書店の「業態名」の募集を行った結果、「MEDISITE」の名称が生まれました。

複合大型書店MEDSITE
1フロア型のMEDISITEは、統合POSカウンターによるローコストオペレーションで、小商圏でも大型複合書店を展開できる原動力となりました。

社外取締役の招聘、執行役員制度の導入
2000年11月24日の株主総会で、株式会社プロトコーポレーション社長(当時)の横山博一氏を社外取締役としてお迎えしました。監査役には、オリジナル株式会社代表取締役社長岡村孝氏に非常勤監査役として就任いただきました。経験豊富な外部有識者の方から大所高所から、またいろいろな角度からご意見をいただくこととしたものです。また2000年11月株主総会後の取締役会で新執行役員が選任され執行役員制度がスタートしました。

商品施策発表会開催
2000年11月5日、東京ドームホテルにて出版社様向けに「三洋堂書店商品施策発表会」を開催し、出版社様との関係強化に努めました。当日は出版社209社、357名の他総勢394名の方々に参加いただきました。
この会では、三洋堂書店の販売・在庫照会システムであるSPN2+(三洋堂パートナーズネットワーク2+)の活用方法が紹介され、現在では多くの出版社がこのネットワークに加入されています(2009年3月末660社751名登録)。

株式公開へ向けた増資
従業員持株会に続き、2001年1月には役員持株会を発足、12月には第三者割当増資が行われ、資本金を3億5百万円まで増資しました。
株式公開の実現にむけた体制づくりは、2002年3月14日の株式公開チームのキックオフに引き継がれました。

「MEDSITE」1号店の岩村店
2001年12月20日開店。人口わずか5,653人の岐阜県恵那郡岩村町で、「書店のないところに書店を」という当社理念の実現ともなりました。

2.新しい営業政策の投入

中古ゲーム市場へ参入、一層の複合化を推進
2002年3月にゲームFCチェーンである「ビデオシティ」との間でFC契約が結ばれ、4月に鳥居松店で当社第1号となるリサイクルゲーム売場が誕生しました。
ゲーム部門は、1982年のレンタル部門、1997年のセルCD部門への参入に次いで、新たな核売場として成長が期待されるところとなりました。

業務改善活動の進捗 OJIと2S
1999年8月に、OJI(オンザジョブインプルーブメント)活動がスタートしました。OJIは、「時間のムダ」や「機会のムダ」など、様々なムダを改善し、成果を証明していく活動です。このOJI活動は開始から10年以上続いており、現在までに1万2千件のOJIが表彰されています。
また、2006年秋には2S活動がスタートしました。2Sは、売場の整理、整頓を通じて店舗をより良くしていく運動です。この運動は、2008年は2Sプラス、2009年からは3Sに引き継がれ、幅広く店舗を活性化していく運動に育っています。

「朝の読書コーナー」の設置
2002年6月から、全店児童書売場に「朝の読書コーナー」を設置しました。
「朝の読書運動」は、「みんなでやる」「毎日やる」「好きな本でよい」「ただ読むだけ」をテーマに、まず本のすばらしさおもしろさを知ることで読書の推進を図ろうというものです。そこでこの「朝読」を積極的に取り組むこととし、全店で「朝の読書コーナー」の設置をおこないました。

ロス、万引き問題への取り組み
書店業界では、ロス対策、特に万引防止対策、防犯対策は、古くて新しい問題であり、なかなか解決できない難題です。2002年には、全店入口に防犯ゲートを設置しました。これに加え防犯システムとして、4月にセコム「IXシステム」を川辺店に導入しました。営業時間の延長に対し店舗の安全を守るためで、その後各店に順次導入していきました。従業員がすべて安心して働ける職場環境を作るという意味でも大切なものでした。

万引き問題を業界問題化させる
『昨年の2月頃、毎晩のようにやってくる悪質な万引犯との遭遇で緊張性偏頭痛というストレス性の病にかかりました。その後、仕事中だけでなく私生活でも茶髪の少年を見るだけで頭が痛いという症状が続きました。苦しい日々が続きました。警備の人が入ってくれましたが、実際そのことは私の精神面には何の役にも立ちませんでした。私は、あの子達にあうのが不安だったのではなく怖かったのです。苦しかったのです。最近また一度は来なくなった万引き犯が来始めました。…』(三洋堂書店2001年社員自己申告票自由記載欄より抜粋引用)

タグ&パック運動
万引被害を防ぎ社員を守るには、わが社だけの取り組みでは限界があることを悟った加藤和裕は、コミックに製造段階で防犯タグを装着すること、あらかじめビニールパックすること(2009年現在でも書店各店が手作業でパックしている!)を出版社に働きかけるため、2001年9月よりタグ&パックの運動を始めました。
呼びかけ人は、精文館書店木和田泰正社長、明屋書店安藤大三社長、くまざわ書店熊沢宏常務と三洋堂書店社長加藤和裕の4人。
多くの書店に「コミックに防犯タグとパックを!」と呼びかけたところ、紀伊国屋書店、丸善、有隣堂、旭屋書店、三省堂書店、ジュンク堂、リブロ、未来屋書店等、全国33書店の賛同を得ました。
そこで、2001年11月9日に講談社、小学館、集英社、白泉社、秋田書店、トーハン、日販を、11月29日には少年画報社、角川書店、メディアワークス、エニックス、双葉社を訪問し、連名の要望書を手渡しました。
その後、「タグ&パック」への賛同書店は、2001年12月43社、2002年1月58社、5月72社、6月77社、8月81社と増え続け、コミックへの防犯タグ付けとパック済み納品は全国の書店の切実な声として、集約されていきました。
このタグ&パック運動を受けて、2002年1月22日コミック大手出版社と「意見交換会」、7月31日「ソースタギング検討会」、11月6日「ICタグは出版業界のインフラになりうるか」シンポジウム、そして2003年2月18日「ICタグ技術協力企業コンソーシアム設立説明会」開催へと、本にICタグを装着する実証実験への大きな流れを作り出すことが出来ました。

万引き問題を社会問題化させる
社会的には、2002年3月21日フジテレビ「スーパーニュース」で書店万引問題が特集されたのを皮切りに、翌日の22日には日本テレビ「ザ・ワイド」、4月テレビ朝日、5月フジテレビ「スーパーニュース」、9月日本テレビ「ニュースプラスワン」、TBS「ニュースの森」、11月「スーパーニュース」、「ワッツニッポン」、2003年1月テレビ朝日「スーパーJチャンネル」、2月フジテレビ「スーパーニュース」、TBS「はなまるまーけっと」、6月テレビ東京「ジカダンパン」と、書店の万引問題が再三テレビで取り上げられました。
三洋堂書店はこれらの取材に積極的に応じ、多数の防犯カメラ映像の提供や、私服警備員との密着取材に協力しました。
「万引は初発型非行で、青少年の非行の入り口」「万引を防いで青少年の健全育成を」という声は、社会に影響力を持ち始めました。
2003年10月9日、東京ビッグサイトにて開催された「万引防止フォーラム」には300名もの業界関係者が集まり、ブックオフ坂本社長、ゲオ遠藤社長、新星堂宮崎社長、三洋堂書店加藤社長らが、万引と盗品換金問題のパネルディスカッションで討論を戦わせました。
12月14日には万引防止シンポジウム「STOP the 万引き横浜モデル」が開催され、中田宏横浜市長を筆頭に、行政を巻き込んだ活動が動き始めました。
2004年3月6日には東京都庁で「万引防止シンポジウム」が開催され、竹花豊副知事の声掛けで「東京都万引防止協議会」設立へと、行政、教育機関、小売業を網羅した社会的運動へと発展していきました。

万防機構設立へ
また、東京国際ブックフェアでは加藤和裕が講師で2003年「万引防止・今何を為すべきか!」、2004年「こうすれば万引は無くせる!」と題したセミナーが開催され、2005年には「タグ&パック」の活動を発展させて「NPO法人全国万引犯罪防止機構」設立(河上和雄理事長)へと、運動は広がっていきました。

設立25周年事業
三洋堂書店は2002年12月をもって設立25周年を迎えることができました。これを記念して2003年5月から三洋堂書店が出店している地域の教育委員会や学校へ「ハリーポッターと炎のゴブレット」を寄贈することを企画し、39の市町村および名古屋市内の15校の小中学校へ同書11,555冊を寄贈しました。

貴社の設立25周年誠におめでとうございます。平素は、学校教育活動にご指導とご鞭撻をいただき感謝申しあげます。
さて、この度、沢山の書籍を寄贈していただきまして、厚くお礼申し上げます。寄贈いただいた書籍を早速各学級に配布しましたところ、子供たちから「ヤッター」と歓声が上がり、とても喜んでいました。学級文庫に入れ、多くの子供たちに読んでもらおうと考えています。本当にありがとうございました。
今後ともご支援とご指導を賜りますよう切にお願い申しあげ、略儀ながら書状にてお礼の言葉にかえさせて頂きます。
岐阜県美濃加茂市加茂野小学校長

子どもへの犯罪防止の取り組み
2003年は、子どもへのイタズラや連れ去りが頻発した年でもありました。そこで、いくつか防犯ブザーを調べていたところ、「キョロちゃんの防犯ブザー」(製造元:岩崎書店)に「悪い人からわたしをまもる本」が付いており、とても判りやすい小冊子(A6版40p)でした。そこで、「悪い人からわたしをまもる本」をリメイクして書籍化(A5版64p)し、三洋堂書店のPB(プライベートブランド)商品として発売しようと、岩崎書店と交渉を重ねました。
ゲラがほぼ完成した頃、岩崎書店側から「全国の書店でも売らせてもらえないか?」との打診がありました。
悩んだ末「わが社の独占販売では社会的影響力は限られる。この本は、全国の書店店頭に並んだほうが良い」と判断し、三洋堂書店は、巻末のクレジットに名を残すのみとしました。ただし、一人でも多くの保護者の方々に経済的負荷なく購入いただけるよう、当社の意向で定価はワンコインの500円(本体476円)とすることにしました。

岡村孝監査役 ご逝去
2003年4月5日、病気療養中の岡村孝監査役が亡くなられました。満60歳の若さでした。
岡村監査役は、オリジナルコーヒー商会の社長として三洋堂食品の時代から加藤和裕社長と懇意となり、1999年に顧問としてお手伝いいただき、2000年から監査役として活躍いただいておりました。異なる業界から多角的なご意見を頂戴し、当社の経営に貢献していただきました。